Question
- ある青年が「進路を決められず、つらい日々を送っているので、カウンセリングを受けたい」という主訴で来談してきました。
- インテーク時でのアセスメントで、うつ病の疑いも考えられため、医療機関を受診するよう進めましたが、クライエントは「薬を飲みたくないので、このままカウンセリングを続けたい」と訴えました。
- そのため「カウンセリングを何回か続けるあいだに、なんとか医療機関へのリファーをすればよいか」と考え、カウンセリングを継続したが、状態は改善されるどころか、悪化してしまいました。
- そしてクライエントの家族から「カウンセラーとして適切な対応を怠った」と私は指摘されました。私には責任はあるのでしょうか。
(出口,2009,p.11.を改変)
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Answer
実際に実施されたカウンセリングの具体的な内容と経過が明らかではないのが、少なくとも本ケースでは、契約の目的・目標が明確ではありません。また、うつ病の治療をクライエントが拒否しているので、その後の方針についてクライエントと充分に話し合い、カウンセリングの有効性について充分な説明をし、クライエントの同意を得ておくべきでした。そのため、説明義務違反として損害賠償責任が認められることがあります(出口,2009,p.12-13.を改変)。
引用文献
出口治男(2009)カウンセラーのための法律相談 心理援助をささえる実践的Q&A 新曜社